恐怖心と言うのは概ね『未知』というところにある。
ああじゃないか?こうじゃないか?と勝手に恐怖心を駆り立てるのだ。
ちゃんと確認してしまえば現実はきちんとそこにある。わかってしまえばなんてことはない。恐怖はただの既知のもの。
もしくは『あれは絶対に幽霊に違いない』という思い込みがそうさせているのだ。知ってる人から見れば『あれはススキだって』と呆れるかもしれないが、根拠なく幽霊だと信じているものには幽霊に他ならない。
意識とはそういうものだ。おもしろいことに。
私は知らないものやことにイライラする時がある。
それがどうしてなのかはあまりわからなくて、例えば流行っているから逆張りで反発しているからとか単純に興味がないのに視界に入るから鼻につくとかそういうことなのかもしれないと漠然と考えていた。
私は流行りに疎いしあまり積極的に追わないので、盛り上がってる頃にはそれがなぜそんなに流行っているのかがわからないことが多い。
Youtubeでたまたま見た動画でその流行りを目にした。
『なぜなぁぜ』
初めて見た感想:普通にイラつく動画だな
自分でも正直だなと思うくらいの感想が出た。
なにこれ?流行ってるのか??その動画を見たからか同じような動画がオススメに表示されて私は『もういいやめろ!』と思った。
その時は一気に押し寄せる不快感にシャットアウトしただけになったが、インスタを始めると同じような動画がたくさん出てきて再度『流行っているんだな』と認識した。
若者のノリはよくわからん!と頑固ジジイみたいなことを思っていたけれど、今日『これって元ネタなんなのだろう』と唐突に思った。考えたところで答えはわかるわけでもない。グーグル先生に聴いてしまうのが一番早い。
なるほど、歌の歌詞でそれをゲームにして流行らせたキャバ嬢がいるのか。
なるほど、『うざかわいい』というのは共通認識なのだな。
一気にイライラがなくなった。
私はこの謎のイライラの正体を知った。
自分が知らないものが流行っていることにイライラしていたのではない。そのものを知らないからイライラしていたのだ。
ああでもないこうでもないと流行ってる理由を考えていると、自分が一番イライラする理由をホイホイと自分の思考は提示してくるのだ。
自分の地雷は自分がよく知っている。
こうなんじゃない?ああなんじゃない?こんな理由だったらめっちゃイラつくよね?そんな流行に乗れないなんてもうオバさんじゃない?Www
この煽り上手め!(褒めとく)
そうやって考える時間のなんと苦々しいことか。無駄である。
さっさと調べればよかったのに。
枯れ尾花を幽霊だと思っている間、ずっと自分は最悪の思考に身を置くことになる。それも自分の意思で。
例えばこれがプラスなことならいい。楽しいことをずっと考えられるのはそれだけでハッピーだ。むしろ私はそういう思考ならそうなっていたい。
人間って面白いもので、最悪なことや悲劇的なことでも快感を得られる生き物なのである。思考があるばかりにバグすぎる。
幽霊が幽霊か枯れ尾花であるかはどうでもいいのだ。
そのとき自分がどう考えるかどう思うのか。現実はそうやって決まる。
さて、一番の敵は?
『めんどうくさい』である。
そう思った日。